みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.10 身近なゴミが大海に与える影響

今回は森朝奈さんが名古屋港水族館を訪れ、
学習交流課長の加藤浩司さんの案内のもと、
ウミガメの生態や環境問題とのつながりについて学びました。


90%以上をプラスチックゴミが占めている

ウミガメの生態を脅かすプラスチック等の海洋ゴミ
 よく海洋プラスチックゴミがウミガメの生態系を脅かしていると耳にしますが、どのような状況なのでしょうか。
加藤 日本やアジアなどの川から流れ出たプラスチック製の生活ゴミは黒潮などの海流に流され、「太平洋ゴミベルト」(図参照)に集まります。これらのゴミを飲み込んだり、絡まったりしてウミガメなど海の生き物の生命が脅かされています。
 餌と間違えてビニールなどのゴミを食べてしまうのですか?
加藤 それもありますが、ウミガメは目にしたものを何でも口に入れてしまうので、ビニールだけでなく、すべての海洋ゴミがウミガメを苦しめる原因となっています。また、海岸のゴミが孵化したばかりの赤ちゃんが海に出るのを妨げる問題も起こっています。

エコ・アクアリウムではウミガメの胃から出てきた海洋ゴミなども展示

さまざまな問題が結びつき解決が求められる地球環境
 私も可能な限り再生可能な容器を利用するようにしていますが、2030年のSDGs達成には、さらに多くの人たちの意識の向上が必要だと感じました。
加藤 2050年には海中のプラスチックゴミの総量が魚の総量を越すという研究結果もあります。ペットボトルが海中で自然分解されるまで約450年、釣り糸に至っては約600年もの年月がかかると言われ、分解途中で発生するマイクロプラスチックも生態系への悪影響が懸念されています。
 私も関係の深い業種に携わっているからこそ、ぜひ多くの方に伝えないといけないと思います。他にもSDGsに関係する問題はあるのでしょうか。
加藤 例えば地球温暖化。ウミガメは温められた卵の温度によって性別がほぼ決まります。このまま温暖化が進めばメスしか生まれなくなる、といったような新しい問題にも発展しかねません。
 ウミガメの生態にも驚かされましたが、そんな問題もあるのですね。
加藤 当館が始めたエコ・アクアリウムは4年目となりますが、環境を伝えるレクチャーの参加者は年々増えています。関心の高まりが環境問題の解決につながるよう、研究と並行して、海の豊かさを守っていく活動を続けていきたいです。

Navigator’s eye


知っているようで知らなかったウミガメの生態に驚いたとともに、その生態から多くのことを学ばせてもらいました。普段から12「つくる責任、つかう責任」や14「海の豊かさを守ろう」といった自身に関係の深い問題は意識していましたが、13「気候変動に具体的な対策を」といった問題が間接的に関わり、そこにどのように取り組んでいけば良いか考えなければいけません。

イメージ

名古屋港水族館

イメージ

魚屋 株式会社寿商店
森 朝奈さん


名古屋港水族館
様々なイベントやプログラムを通して、海の生き物の生態や進化の秘密を発見できる名古屋港水族館です。
・住  所 愛知県名古屋市港区港町1番3号(事務局:名古屋港水族館)
・T E L 052-654-7080(代表)
・開館時間 9:30〜17:00
・休館日  1月9日、15日〜19日(以降は要問い合わせ)
・入場料  高校生以上2030円、小・中学生1010円、幼児(4歳以上)500円
▶︎公式ホームページ