みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.11 医療を絶やさない災害への対応

今回は服部愛子さんが藤田医科大学病院を訪れ、
岩田充永副院長の案内のもと、
大規模災害に地域全体で備える災害医療支援について伺いました。


“移動式の集中治療室”エクモカー

災害時の安心の要、基幹災害拠点病院機能
服部 藤田医科大学病院では、能登半島地震の医療支援を行っていますが、現地の状況はいかがですか。
岩田 道路の寸断などにより孤立した集落の方が継続した医療を受けられない状況が続きました。これは南海トラフ地震でも考えられることなので、愛知県の基幹災害拠点病院として対策を進めています。
服部 基幹災害拠点病院の役割で大切なことは何だとお考えですか。
岩田 一番は災害時に医療を絶やさないことです。救急医療はもちろんですが、通院・入院されている方の医療が止まってはいけません。当院ではライフラインの断絶時にも自立したエネルギー供給ができるよう、太陽光発電設備の導入を進め、日ごろから井水を活用するなどの対策をしています。また、広域災害を想定し、近県の大学病院が支えあう新しい仕組みも作っています。
服部 三重大学、浜松医科大学との連携協定ですね。
岩田 そうです。大学病院で施す高度医療を維持するための連携です。今年2月に当院にドクターヘリが配備され、3つの拠点を効率よく結ぶことができ、道路の寸断にも空から対応できるようになります。災害現場で集中治療を行うエクモカーの導入など、災害派遣医療チーム(DMAT)が機能的に活躍できる体制も整えています。
服部 医療の要となる大学病院が連携し支え合うことは、地域医療を守るためにもすごく大切なことなんですね。

能登半島地震の被災地で医師や物資の搬送などの支援活動にあたっているドクターヘリ(2月正式運航)

心と体、両方の健康を。大学病院に求められる役割
服部 災害時の医療のために私たちが備えておくべきことはありますか。
岩田 持病の有無やその治療方法などがわからないと適切な処置ができません。アプリを入れたり、写真で撮るなど薬手帳の記録をスマホに残しておくといいでしょう。備蓄品として普段服用している薬のローリングストックをしておくのも大事ですね。有事の際の現場での判断は非常に難しいので、藤田医科大学では学生・職員全員が防災士の資格を取得する取り組みを始めました。これは地域の防災を学ぶことで、適切な避難誘導や被災地支援に役立てるもので、大災害が起きたときには、自分たちが社会を支えるという意識をもつ学生・職員の育成をめざしています。
服部 まさに医療を通じた地域貢献で、SDGsの考えに通じますね。
岩田 人の役に立ちたいという思いから医療を志し、大学で学び医療従事者となる学生が、常に何ができるのかを考えることに大きな意味があります。こうして地域と深く関わっているからこそできる地域貢献が大学病院の役割ではないでしょうか。
服部 地域連携、そして継続して続けられる取り組みの大切さを学ぶことができました。

Navigator’s eye


医療の現場を支える方たちの取り組みによって、SDGs3「すべての人に健康と福祉を」、そしてSDGs11「住み続けられるまちづくりを」が守られていることを実感しました。災害時の高齢者や傷病者のケアは命に関わる大きな課題です。医療を絶やさないための体制を整え、人材育成にも励む藤田医科大学の姿勢は「誰一人取り残さない」SDGsの理念にふさわしい取り組みだと思いました。

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藤田医科大学病院

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ラジオパーソナリティ・ナレーター
服部愛子さん


藤田医科大学病院
国際的な医療施設評価認証機関であるJCI(Joint Commission International)に認定された大学病院です。
・住  所 愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98
・T E L 0562-93-2111(病院代表)
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