みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.05 伝統を守り、受け継がれる匠の技

今回は森朝奈さんが岐阜市の「長良川うかいミュージアム」を訪れ、
学芸員の河合昌美さんの案内のもと、
後世に繋いでいきたい伝統と文化について考えます。


1300年もの間受け継がれてきた伝統
 展示室では暗闇の中、篝火に照らし出される6名の鵜匠と、代々受け継がれる屋号がとても印象的でした。1300年前から変わらず続く伝統、「宮内庁式部職」として受け継がれてきた鵜匠の技法の数々に驚かされました。
河合 現在では夏の風物詩として多くの方に鵜飼観覧船を楽しんでいただいていますが、長良川とともに共存し積み重ねられてきた文化はもちろん、さまざまな側面やこれからの課題、考えていかなければいけないことを伝えることも当館の役割だと考えています。生活様式の移り変わり、後継者不足、水質の変化なども大きな課題ですね。
 私も魚の仕入れに携わる中で、以前と比べ魚の取れる量、時期が大きく変わってきてるなと感じることがあります。長良川ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
河合 一概には言えませんが、鮎などの回遊魚が移動する時期が遅くなっています。こうした問題に対し、岐阜県下の大学や研究機関による調査をはじめ、市民のみなさんによる保全活動なども活発で、みんなで川を守り、鵜匠の文化を伝えていこうという機運も高まっています。
 私たちにできることもたくさんあるということですね。

相互に関わり循環し持続する長良川システム
河合 森さんは「長良川システム」をご存知ですか。鮎を取り巻く人の生活、鵜匠の文化、水環境、漁業資源などが相互に関わり、循環する仕組みが長良川システムとして高く評価され、2015年、「清流長良川の鮎」として世界農業遺産に認定されました。長良川の鵜飼も自然を荒らさず川の恵みを獲り尽くすことのないよう、狩場を変えていったという資料も残されています。豊かな恵みを後世に残すということは、当たり前のように行ってきたことなんです。
 そうですね。そして観光や産業など、さまざまな側面からの評価も大切なんですね。多くの人に知ってもらい、関わる人が多くなるほど、できることも増えていくはずですから、まずは興味を持ってもらえるよう、伝えていくことが私たちにできることではないかと思います。

Navigator’s eye


鵜飼や鮎漁といった伝統漁法が長良川の豊かさに結びついていたことが非常に興味深かったです。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」という目標の大切さを改めて感じました。そしてなによりも目標12「つくる責任つかう責任」は、今後の発展や持続可能な開発に欠かせないものであり、全ての目標とあわせて考えていきたいと思いました。

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長良川うかいミュージアム

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魚屋 寿商店 森 朝奈さん

長良川うかいミュージアム(岐阜市長良川鵜飼伝承館)
岐阜市を代表する伝統文化である“長良川の鵜飼”の価値を分かりやすく
紹介・情報発信する場として岐阜市長良鵜飼屋の地に誕生しました。
・住  所 岐阜県岐阜市長良51-2
・T E L 058-210-1555
・開館時間 5月1日~10月15日 / 9:00~19:00(入館締切 18:30)
      10月16日~4月30日 / 9:00~17:00(入館締切 16:30)
・定  休 年末年始(12月29日~1月3日)
      5月1日~10月15日 / 休館日なし(一部指定日除く)
      10月16日~4月30日 / 毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)
・入  場 有料
・駐 車 場 あり
▶︎公式ホームページ