みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.07 「人道」の精神がつなぐ“命のリレー”

今回は服部愛子さんが岐阜県八百津町の「杉原千畝記念館」を訪れ、
館長の山田和実さんの案内のもと、杉原千畝の足跡をたどりながら、
彼が拠り所とした“人道”について考えます。


人として人の道を選ぶ正しさの指針
服部 正しさのはかりが失われる戦時下において、自分を顧みず、助けを求める人々を守る行動をとった杉原千畝とは、どのような人物だったのでしょうか。
山田 記念館のある八百津で生まれ、子どもの頃から優秀だったという記録が残されています。ロシア語を中国のハルビン学院で学んだ彼は、ナチスがヨーロッパで勢力を広げ、ユダヤ人への迫害が激しさを増した1939年に、リトアニアの在カウナス日本領事館領事代理として赴任します。そこで国外脱出を目指すユダヤ難民に対してビザを発給しました。
服部 “命のビザ”と呼ばれているものですね。政府の意向に反してビザを発給し続けたということですが、千畝はなぜそうしたのでしょうか。
山田 このような記録が残されています。「私もなにをかくそう一晩中考えた。苦慮、煩悶の挙句、私はついに、人道、博愛精神第一という結論を得た。そして私は何も恐れることなく、ビザ発給を決意した。」倫理観が薄れゆく戦時中であっても、人としての道を選んだ。それが彼の行動理念となったのではないでしょうか。

傍観者にならないことが目標実現への一歩
山田 展示を見てくれた子どもたちには、「決して傍観者にならず、人として正しい行動ができる人になってほしい」と伝えています。そして、そうした行動は必ず繋がっていくのだと思います。最終避難地へのビザを発給した在リトアニアのオランダ名誉領事ヤン・ズワルテンダイク、また杉原がビザを発給する2年前に、上海を目指すユダヤ人に旧満州国への通過を認めさせた陸軍中将の樋口季一郎。まさしく“命のリレー”として人道の輪が広がっていったことも学んで行ってほしいと思います。
服部 どのような状況の中でも、本当に大切なものは何なのか、本質を捉え行動するための指針として、杉原千畝は人道を一番に考えたわけですね。そして繋がった“命のリレー”。SDGsでもパートナーシップで目標達成を目指す17番が重要視されていますが、思いを伝え、繋げることの大切さも学ぶことができました。

Navigator’s eye


命のビザの背景にある出来事は、決して過去の話ではないと感じました。傍観者にならないことが大切であり、SDGs10「人や国の不平等をなくそう」、16「平和と公正を全ての人に」にどう向き合うべきかを学ぶことができました。また、平和であることがSDGs達成への大前提であるとの思いを強く持ちました。

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杉原千畝記念館

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ラジオパーソナリティ
ナレーター
服部愛子氏


杉原千畝記念館
杉原千畝の生誕地と岐阜県八百津町の文化差異を空間化した記念館です。
展示室、孤高な執務室、展望塔などで
千畝の道徳や命を救った壮観な冒険を見ることができます。
・住  所 岐阜県加茂郡八百津町八百津1071
・T E L 0574-43-2460
・開館時間 午前9時30分から午後5時まで
   (入館受付は午後4時30分までです)
・定  休 毎週月曜日(祝日または振替休日の場合は翌日)・年末年始
・入  場 大人(高校生以上)300円/中学生以下無料
▶︎公式ホームページ