みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.08 江戸時代の暮らしから考えるSDGs

今回はクリス・グレンさんが名古屋城を訪れ、
名古屋城調査研究センターの原史彦さんの案内のもと、
尾張藩の持続可能な開発と当時の“循環型”生活について考えます。


リユース・リサイクルの戦国・江戸時代
クリス 戦国・江戸時代の暮らしを調べてみるとリユース、リサイクルが当たり前な社会だったことがわかります。壊れたからといってすぐに買い替えるということはしませんでした。陶磁器は「金継ぎ」という伝統技法で何度も修理をして使いましたし、着物も仕立て直して、代々受け継いでいきました。
 まさにそうですね。名古屋では1610年の築城以降、城下町は大いに発展しますが、建築に使われる木材に対する尾張藩の森林保護は画期的でした。留山(とめやま)という制度では木材伐採に制限を設け、違反するものには厳しい罰則もありました。また、木曽において日本で初めて植林政策を実施し、未来を見据えた持続可能な開発が行われました。

当時を思い起こして循環型社会を考えてみる
クリス 築城でいえば、名古屋城の御深井丸に建つ西北隅櫓は、清須城の天守(小天守とも)を移築したものとされています。これは使えるものは使い続けるという感覚があったからなのでしょうか。
 もちろんそうした考えが基になっていますし、まだ戦国時代が終わってまもない世でしたから費用をかけず早く造りたいという合理的な考えもあったようです。ただ、驚くのは当時の職人たちの技術力の高さです。西北隅櫓の建築を見ていると、もとは壁として使われていた建材が床に使われていたり、足りない部分を巧みに補う技術にも緻密さが見られます。
クリス 建築というのは当時の世相を反映していますので、そうした部分から当時の暮らしや状況を想像し考えることも面白いと思います。江戸時代のSDGsな暮らしが思い起こされます。
 食事やものの豊かさの点では、現在の私たちの生活は当時の大名や位の高い武士以上ではないでしょうか。贅沢をしてはいけないと言うことではありませんが、今一度、日々の暮らしに本当に必要なものはなんなのか、当時の人や暮らしを感じながら、考えてみても良いのかもしれませんね。

Navigator’s eye


資源が貴重であることは今も昔も変わりません。だからこそ歴史から学び、現在の暮らしに活かすことは重要です。未来を想って木を植えてくださった人たちのおかげで木曽には今も豊かな森が残っていますが、これは当たり前のことではありません。先人たちに感謝しつつ、目標12「つくる責任つかう責任」、15「陸の豊かさも守ろう」についてみんなで考えていきましょう。

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特別史跡 名古屋城

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ラジオDJ
タレント
クリス・グレン


特別史跡 名古屋城
1952年(昭和27)、名古屋城は国内屈指の城郭として国の特別史跡(※)に指定されました。
戦災により天守や本丸御殿など主要な建造物を焼失しましたが、
それでもなお学術上の価値が極めて高い、とされています。
※特別史跡とは、文化財保護法により指定された史跡のうち、特に価値が高いと認められるもので、国宝と同格とされます。
・住  所 愛知県名古屋市中区本丸1-1
・T E L 052-231-1700
・開館時間 午前9時~午後4時30分
      (本丸御殿・西の丸御蔵城宝館へのご入場は午後4時まで)
・休園日  12月29日~31日、1月1日(4日間)
・入  場 大人(高校生以上)500円/中学生以下無料
▶︎公式ホームページ