みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

大学生の実践SDGs

ミライへつなげるSDGsアクション

 持続可能な社会の実現へ向けて、今何ができるのかをともに考える「中日SDGsフェア」がウインクあいちで開催されました。会場には講評者として国際連合地域開発センター所長・村田重雄氏とJICA中部所長・上町透氏が登壇。国際的な視点から知見を深める貴重な機会となりました。ステージでは愛知県内の大学生たちが、環境、地域福祉、医療教育など多岐にわたるテーマで日頃の活動成果を発表。企業や自治体、地域住民と連携を通じて生まれた実践的な取り組みは、「SDGsは身近な行動の積み重ねから始まる」ことを来場者に強く実感させました。ここでは、当日行われた大学生による発表のハイライトをお届けします。

愛知大学 / 愛知淑徳大学 / 東海学園大学
名古屋学院大学 / 名古屋市立大学 / 藤田医科大学

愛知大学
地域活性の4つの視点から国産バナナの価値を考える

[ メンバー ]
竹中雄太郎さん 浜島圭大さん 為近奏汰さん 古川晃仁郎さん

 国産バナナは、まだあまり知られていません。愛知大学地域政策学部の学生4人は、住民の健康、地域ブランド、地域産業・観光、資源循環という4つの視点からその価値を探りました。一般的なバナナよりカリウムが豊富で、皮まで食べれば約2、3倍摂取できるなど健康面の可能性がある一方、地元産「ほの国バナナ」を知る愛知大生はごくわずかで、知名度の低さが課題と分かりました。生産者への取材では、無農薬で皮ごと食べられる安全性や、マルシェや飲食店とのコラボなど地域との結びつきが強みだと知りました。皮や葉を飼料・堆肥に、規格外品をジェラートに加工するなど資源循環の工夫も進んでいます。体験イベントの開催や地域スイーツ店と連携した総合型観光農園づくり、バナナ図鑑の配布を提案し、発信を通じた知名度向上が地域ブランド化と地域活性化につながると考えています。

[ 総評 ]

■村田所長 無農薬で皮まで食べられる安全性や資源循環の仕組みが素晴らしいです。持続のためには価格差を縮める工夫もあると良いと思いました。
■上町所長 愛知でバナナというのは意外でした。プロチームとの提携を活かした地域ブランド戦略に期待しています。気候変動で栽培適地が広がる可能性も感じました。



愛知淑徳大学
自分色を表現できる社会へ

[ メンバー ]
野中麻衣さん

 服は、人の数だけ「着たい」があります。愛知淑徳大学の学生団体「ユニコマ+」は、障害のある方の被服リメイクを通じて、その思いに向き合ってきました。施設職員やご家族へのアンケートから、着たい服を諦めた経験がある方が半数以上に上ることを知り、着やすさだけでなく「着たい」思いを大切にしようと、利用者一人ひとりと継続的に交流し、身体状況に合わせたリメイクを行いました。結婚式用にマグネットボタンを取り入れたスーツ風の服や、体型に合わせサイズ調整しレースを加えた可愛い服を仕立て、音楽に合わせてランウェイを歩くファッションショーも開催。利用者さんの笑顔やご家族の涙を見て、一人ひとりを理解し本人の意思を尊重することの大切さを実感しました。今後も継続的な交流を通じ、誰もが自分らしく生きられる社会を目指します。

[ 総評 ]

■村田所長 「誰一人取り残さない」というSDGsの理念に沿う取り組みだと感じました。関連企業の意識が少しずつ変わっていけば、とても嬉しく思います。
■上町所長 利用者に寄り添い自己表現を支えた姿勢は、とても温かく大事な視点だと思いました。喜びを分かち合う仲間の存在が良い循環を生んでいると感じます。



東海学園大学
規格外野菜を活用した加工食品の開発とSDGsへの貢献

[ メンバー ]
石川結愛さん 大川芽生さん 廣中音夢さん 横山惺也さん 山本憐聖さん

 規格を満たさないというだけで、市場に出回らない野菜があります。東海学園大学健康栄養学部の学生は、名古屋市農業センターで発生する規格外のトマトと玉ねぎに着目しました。パンや麺、ウインナーソーセージ、マカロンなど様々な形で試作を重ね、粉末化したトマトを使ったトマトエピパンと玉ねぎクラッカーにたどり着きました。試食アンケートではトマトパンが約八割の購入意向を得た一方、玉ねぎクラッカーは約二割にとどまり、商品化はトマトパンに絞りました。原材料費はトマト粉末を加えても一個あたり約1円増にとどまり、規格外トマトを加工利用することで廃棄する場合に比べCO2排出も削減できると試算しました。今後はパン屋との共同開発や試験販売、地域企業との連携を進め、規格外野菜を地域資源として循環させる食品システムの実現を目指します。

[ 総評 ]

■村田所長 試作から評価まで体系的に検討されていて感心しました。原価が一円しか増えないのには驚きました。粉末の他用途への展開も検討してみてください。
■上町所長 数ある案の中からトマトパンを選んだ理由や、自分たちで焼いたのかを伺いました。試作を重ねた学びの多さを感じ、パン屋との連携にも期待しています。



名古屋学院大学
竹資源の循環に向けた取り組み

[ メンバー ]
雑賀太一さん 山田伊之介さん 古田滉騎さん 稲葉空維さん 山本彩璃さん

 岡崎市額田地区は、面積の八割以上を森林が占めます。名古屋学院大学岡本ゼミの学生(経営学部・商学部)が向き合ったのは、竹需要の減少により管理する人が減り、倒竹や土砂災害、生態系被害などを招く放置竹林の問題です。竹を活用して得た収益を次の管理につなげる「竹の循環システム」を機能させようと、地元の森林組合や工芸家の協力を得て、三井アウトレットパーク岡崎で竹札に願いを書く体験「祈り竹」と、200基の竹灯籠を灯す「竹あかり」のイベントを2日間にわたり開催しました。用意した竹札は想定より早くなくなり、多くの来場者にライトアップも楽しんでいただきました。使用した竹は最後に竹炭へ加工し、森林組合に土壌改良材として活用いただいています。今後も連携を続け、額田地区の放置竹林が継続的に整備される未来を目指したいと考えています。

[ 総評 ]

■村田所長 土木の視点からも放置竹林のリスクを身近に感じてきました。分析力と実行力に感心し、想定を超える参加者数を聞いて嬉しく思いました。
■上町所長 竹の利活用は途上国でも関心が高いテーマです。竹工芸だけでは竹の消費量が限られるので、竹炭など大量消費策への取り組みにも期待しています。



名古屋市立大学
教育格差は、隣の家でも起きている―大学生が届ける無料塾プロジェクト―

[ メンバー ]
鈴木花梨さん 米山樹さん

 教育格差は、遠い誰かの話ではありません。名古屋市立大学の学生団体「つばめ」は、子どもの相対的貧困率が約11.5パーセントに上ることや、1人親世帯ではさらに高くなること、世帯年収による学校外活動費の格差を知り、経済的事情に関わらず子どもが安心して過ごせる居場所づくりに取り組んできました。瑞穂区と中区の二拠点で宿題に1対1で寄り添う学習支援のほか、遊びや地域の子ども食堂との連携、銀行と提携した金融教育、流しそうめんやクリスマス会などの季節のイベントも行っています。「勉強が楽しくなった」という子どもの声が私たちの励みです。一方で参加学生の固定化が課題で、SNSでの広報にも注力しています。今後はデジタル格差への対応や外国にルーツを持つ子どもへの支援にも活動を広げていきたいと考えています。

[ 総評 ]

■村田所長 日本の子どもの貧困率の高さを踏まえ、大切な活動だと感じました。自治体・企業との連携は、さらなる広がりの好例だと思います。
■上町所長 団体名「つばめ」に込めた恩返しの思いに共感しました。参加の固定化という課題の克服と、デジタル格差や外国ルーツの子への支援拡大にも期待しています。



藤田医科大学
SDGsから考えるDI犬導入への挑戦―「すべての人に健康と福祉を」の実現を目指して―

[ メンバー ]
伊藤真理子さん 城内薫乃さん

 介助犬には向かないけれど、人との触れ合いが好きな犬たちがいます。藤田医科大学の学生と卒業生は、そんなDI犬とともに、日本介助犬協会と協力する活動に取り組んできました。大学病院の小児科で、犬との触れ合いを通じて入院中の子どもたちの生活を楽しくしようと教授に企画を提案し、動物介在活動を実現させました。プレイルームでのふれあいだけでなく、来られない患者さんには病室にも訪問しました。実施後には、内気な子が積極的に参加する、鎮静剤を使う子が笑顔を見せるなど前向きな変化があり、看護師や保育士、付き添うご家族からも前向きな声を多くいただきました。現在は意識障害回復センターなど他の病棟にも活動が広がっています。あわせて学園祭での介助犬グッズ販売と寄付を通じた広報も行い、今後は病院全体で動物介在療法ができる環境づくりを目指したいと思います。

[ 総評 ]

■村田所長 動物には人を癒す力があると、私自身の飼い犬の経験からも感じています。訓練され管理された犬だと伺い、衛生面も安心できると思いました。
■上町所長 DI犬という取り組みを初めて知り、私にとってとても貴重な発表でした。犬の重要性が周囲に伝わりにくい場面もあると思うので、普及啓発を続けてほしいです。