Vol.04 理解を深めることで開かれた社会に
今回はイレーネさんが名古屋レインボープライドに参加し、
同会共同代表の樹梨杏さんと、NPO法人ASTA共同代表理事の松岡成子さんに、
ジェンダー・セクシュアリティについて話を伺いしました。
街頭には声援を送る多くの人が。
社会変革を目指す運動は団結し世界中に波及
イレーネ LGBTQ+(注)など性的多様性への理解が深まっています。その背景を教えてください。
松岡 LGBTQ+の人々は、以前は病気として扱われたり、いないものとして存在を否定される環境にありましたが、LGBTQ+の人々やその支援者たちが差別や誤解に立ち向かいながら、人権運動を展開しました。やがてそれぞれが団結し、社会革命を目指す運動が規模を拡大していきました。
イレーネ 性的自認の多様性を、どのようにとらえていますか。
樹梨杏 幅広い色彩をもつグラデーションのようなものではないでしょうか。当事者として感じている方々の中には、自分がどこに属し、どういう立ち位置なのかをわからない人も多くいます。マジョリティー側の人も、自分はまったく関係ないと外から眺めるのではなく、自身もそのグラデーションの一部だという認識を持てれば、違った見方が広がっていくのではないでしょうか。
イレーネ そうですね。みんながグラデーションの中にいて、割合が違うだけですから。
6月15日に栄で行われた名古屋レインボープライドのイベント
多くの声援は社会が変わりつつある証
イレーネ 愛知県では今年4月から愛知県ファミリーシップ宣誓制度を始めるなど、自治体のパートナーシップ制度についてよく耳にするようになりました。
松岡 社会が変わってきているので、パートナーシップ制度は重要なステップだと思います。多くの自治体が職員への研修などを経て、制度化に取り組んでいます。特に愛知県内ではその傾向が強いですね。
イレーネ 企業や学校、行政との連携も大事ですよね。
松岡 はい、自治体が率先してくれると、企業も動きやすくなります。パートナーシップ制度があれば、病院での病状説明から携帯電話の家族割の適用まで、日常生活のさまざまな事柄にサポートが得られます。自治体によって内容が異なりますので、確認してみるといいでしょう。
イレーネ 今年のレインボープライドのパレードは街頭からの声がけも多く、印象的でしたね。
樹梨杏 プライドパレードは、性的多様性を認め合い、尊重する大切さを示すイベントです。例年に増して多くの人の応援とサポートが私たちの力になりました。それは、社会が変わりつつある証です。互いが理解を深めることで、より開かれた社会を作っていけると信じ活動を続けたいです。
イレーネ 性別に基づく期待や役割を他者に強要しない。それはLGBTQ+に限らないということですね。
(注)LGBTQとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとしても使われることがある。
Navigator’s eye
レインボープライドの活動は、LGBTQ+はもちろん、すべての人々の多様性を認め、祝福すること。そのために希望を込めて「ハッピープライド」という言葉をかけるということに感動しました。多様性を尊重し、メディアが与える影響を考慮しながら、一人ひとりの経験を共有する。そんな理解と寛容の精神が、より公平で包括的な社会を築くために不可欠だということを学びました。
名古屋レインボープライド共同代表の樹梨杏さんとイレーネさん