特別編 藤田医科大学国際ブートキャンプリポート
未来の医療を創造する学生たちの挑戦
医療技術の進歩とともに、現場の課題を解決する革新的なシステム開発が求められています。
藤田医科大学は、今年4月に医工連携の分野でMOU(※1)を結んだ
香港科技大学と連携し、XBOTPARK(※2)とともに
アントレプレナー養成のためのブートキャンプを実施しました。
11日間にわたるプログラムには、国内外から31名の学生が参加し、
各国の医療現場における課題解決策や、新たなビジネスモデルの構築について、
活発な議論を交わし、交流を深めました。
リハビリセンターでのフィールドビジット
価値の創造方法を変え他分野に革命を起こす
「医療現場には治療法が見つかっていない疾患に対する患者と医療者、両方の医療ニーズがあります。それを正しく理解し、解決策をイノベーションにつなげることがブートキャンプの目的です。その手法を学生のころから積極的に身に着け意識を高め、環境を整えていくことが大切です。」と藤田学園理事長の星長清隆氏は、ブートキャンプの開催意義を強調し、医療と工学の新しい組み合わせが新たな価値を創造することへの期待を言葉にしました。
議論を交わす学生
ユーザーの声から要点をつかみ状況に応じた解決を試みる
参加者は6つのチームに分かれ、「アルツハイマー」や「ADHD(多動性障害)」など、それぞれが課題を定めて、プログラムを進めていきました。まずは参加者が病院を訪れて、実際の現場から課題を見つけ出すフィールドビジットから開始。あるチームは患者さんのデータを一つ一つ、個別に入力していく業務が看護師の大きな負担になっていることを課題として捉え、「ITにより、作業を効率化していく」という見通しを立てました。
フィールドビジットの後は、医療者から患者さんまでユーザーへの聞き取りを実施し、要点を書き上げていきました。どんな些細なアイデアも真剣に検討する姿勢で臨み、参加者が出したアイデアは一人150個以上。他者の視点で見ると大きな発見もあることから、チームでの議論は大変有意義なものとなり、アイデアを数倍に膨らませるだけでなく、アウトプットの手法や意味についても学びました。
このブートキャンプの大きな特徴は国際連携です。グローバルな視点を取り入れつつ、日本の医療現場に適した課題解決方法を模索した学生たちは、「海外の先進的な取り組みを知ることで、自分たちのアイデアの可能性がさらに広がりました」と話しました。
次はいよいよプロトタイプの開発のフェーズへ。単に医療現場のニーズを課題として受け入れるのではなく、積極的に解決しようというプロセスの中で、様々な側面を捉え、適切に活用できる技術を学んだ結果が新しいイノベーションにつながることを実感しました。
医療現場の課題解決のためのイノベーションが生まれる
今回のブートキャンプでは、参加者たちの熱意、大学のサポート、国際的な視点の導入など、様々な要素が組み合わさることで、非常に価値のある成果が生まれました。今後、このような取り組みが広がり、医療現場の課題解決につながるイノベーションが次々と生まれることが期待されます。同時に、こうした経験を通じて育成された人材が、将来の医療技術開発や医療システムの改革においても重要な役割を果たしていくことでしょう。
※1 研究・教育における連携・交流を目的とした学術協定 ※2 ロボティクスとスマートハードウェアに特化した中国のスタートアップインキュベータ