Vol.07 次世代エネルギーが実現する未来
今回は辻本達規さんが名古屋市の「でんきの科学館」を訪れ、
ガイドの山田芽美さんの案内のもと、
私たちが普段使っている電気のしくみや、
次世代の新エネルギーについて考えました。
送電鉄塔の高さを体験できる展示の前で
見えないところで豊かな生活を支える技術
辻本 でんきの科学館の役割について教えてください。
山田 私たちの暮らしに欠かすことのできない電気をはじめ、環境やエネルギーについて体験しながら学ぶことができる施設として、今から38年前に誕生しました。
辻本 子どもたちが楽しめる仕組みもたくさんありますね。
山田 好奇心を大切にし、そこから正しい知識を得られるような展示を心がけています。例えば100mの高さの送電線から見下ろした景色や、普段立ち入ることのできない電力設備の実物展示、家庭に電気が届くまでの道のりを見ることができるジオラマなど、どれも興味深く楽しんでもらえています。辻本さんは電気が供給される仕組みをご存知ですか。
辻本 発電所で作られた電気が電線を通ってくる、ということくらいしか知りませんでしたが、電気を効率よく届けるためにさまざまな工夫がされていることや、身近な都市空間の地下に変電所があることなどに驚きました。表からは見えないさまざまな人の手によって、電気の使える豊かな生活は守られているのですね。
山田 さっそく学んでいただいたみたいでありがとうございます。安定的に電気が使えるようにするため、今は火力発電に頼らざるを得ない状況ですが、SDGsと関係する脱炭素社会実現のため、さまざまな発電方法の研究にも取り組んでいます。
CO2が発生する仕組みもわかりやすく解説されている
新エネルギー利用のためのエネルギーミックス
辻本 太陽光発電や風力発電のことですか。
山田 それだけではなく、火山やマグマなど地中の熱を利用した「地熱発電」、風車を海上に設置した「洋上風力発電」、間伐材や可燃ゴミを燃料にした「バイオマス発電」など持続可能な新しい発電方法が研究されており、一部は実用化も進められています。
辻本 目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」だけでなく、目標9に通じる技術革新がなされているわけですね。新しい発電方法に短所はないのでしょうか。
山田 太陽光や風力といった再生可能エネルギーは環境に優しくて持続可能ですが、天候や地理的条件に左右されやすいという点が挙げられます。水力もそうですね。そこで、それぞれの発電方法の長所を生かし、短所を補い合う「エネルギーミックス」が電気の安定供給にも、持続可能な社会の実現にも必要だと私たちは考えています。
辻本 SDGsの実現が近くに感じられました。自分にも何ができるか考えたいと思います。
Navigator’s eye
日本は住みやすい国だけど、エネルギーの面では他国に依存している部分が大きく、だからこそいろんなエネルギーをミックスして持続可能な形で使っていくことが大切なんですね。石油や天然資源の枯渇問題は、人ごとではなく、次世代の子どもたちのために、どのように持続可能な社会を実現していくのかを考える時が今なのだということを学びました。
でんきの科学館
BOYS AND MEN
辻本達規さん
でんきの科学館
中部電力が運営する無料の科学体験施設。電気や環境、エネルギーなどのテーマで、実験やショー、工作などで科学を楽しく学ぶことができる。
(名古屋市中区栄二丁目2番5号)
休館日/毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)第3金曜日
入館料/無料