みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.10 想いが変えていく街のカタチ

今回は服部愛子さんが商店街再生により
活気を取り戻した円頓寺商店街(名古屋市西区那古野)を訪れ、
理事長の田尾大介さんに商店街の発展の裏側や取り組みについて
お話しを伺いました。


来場者で賑わう円頓寺 秋のパリ祭

自分たちで街を変えていく信頼で繋がった思い
服部 アーケードの屋根一面に太陽光発電のパネルが設置されていることに驚きました。顔認識カメラを使った顧客分析など、新しい取り組みも行われていますね。
田尾 コロナ禍で何もできないのであれば、今までできなかったことを始めてみようというのがきっかけでした。古き良き下町情緒と対極にあるギャップも面白いじゃないですか。近隣にはスタートアップの育成拠点・なごのキャンパスもありますので、協働した取り組みなども行っています。
服部 各地でもシャッター街が増える中、地域の活性化には新しさが必要ということでしょうか。
田尾 一概にそうとは言えません。商店の場合、店舗として営業されていなくても、そこで暮らされている方がいます。商店街も人の暮らしが中心ですから、皆が皆、多くの賑わいや新しい店舗、新しいイベントを求めている訳ではないということを考えていかなければなりません。
服部 そうした中、どのように円頓寺商店街は活気を取り戻されてきたのでしょうか。
田尾 先代の時代に、地域主体のまちづくり団体「那古野下町衆」が結成され、外部からの働きかけではなく、地域の人たちが自分たちで街を変えていこうと取り組まれてきたことが大きかったのではないでしょうか。ご近所同士の信頼や繋がりがあったからこそ、変えていこうという声に賛同があったのだと思います。空き家問題、集客、2つの大きな問題に同時に取り組み、店舗誘致に関しても、周りと協調しながら良い店をやり続けてくれる人かどうかを見極めながら、さまざまな業態の店舗を誘致していきました。私もその時声をかけられた一人で、「なごのや」をオープンしました。ゲストハウスも併設しているので、インバウンドのお客様との接点にもなっています。

アーケードに新しく設置された街頭とイルミネーション

地域課題への取り組みで生まれる新しい循環
服部 多様な店舗形態が違った層のお客様を呼びこんでいるわけですね。街を盛り上げるために一緒に問題に取り組んでいこうという取り組みは、SDGsの考えそのものだと感じました。
田尾 円頓寺商店街の再生は地元コミュニティの献身的な努力によって成し遂げられましたが、こうした動きはスタートアップとして形を変え、新しいビジネスが地域に根付くことで、さらなる活気を生み出す流れが生まれつつあると思います。独自性を生かしながら、円頓寺に行けば何か面白いことがある、と思ってもらえるような街にしていきたいです。

Navigator’s eye


円頓寺商店街では、街の魅力となっている多様な店舗一つ一つが、この場所に愛着をもって街を盛り上げようとしているように感じられました。根本にある人々の暮らしを一番大切に考えたからこそできたまちづくりが、今の賑わいに繋がっているということはとても素晴らしいことだと思います。住み続けられるまちづくりにおいて何を考えて行かなければ行けないのかを学ばせてもらいました。

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円頓寺商店街

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ラジオパーソナリティ・ナレーター
服部 愛子さん


円頓寺商店街

大須などとともに昔から続く繁華街で、家康が行った清須越し以降、堀川・美濃路沿いにあったことから、また寺社の門前町としても発展していった町
(名古屋市西区那古野一丁目6-16)