みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.04 湖沼の価値を世界に発信し、次世代につなぐ

今回はILEC(公益財団法人 国際湖沼環境委員会)理事長 竹本和彦氏に
湖沼の役割と世界共通の課題についてお話を伺いました。


ILEC理事長
竹本 和彦氏

日本発のムーブメント
ー湖や沼は総称して湖沼と呼ばれています。身近な水資源として私たちの生活との関わりを教えてください。
竹本 湖沼は地域の水循環の中核であり飲用水・農業用水などの供給、淡水魚などの水産資源、自然のダムとして治水機能もあります。景観美や文化的価値も重要ですね。しかし閉鎖水域のため汚染物質が蓄積しやすく、特に途上国では水質汚染が深刻な問題となっています。
ー8月27日の「世界湖沼の日」について教えてください。
竹本 昨年12月に国連で決議されました。1984年に滋賀県大津市で開催された「世界湖沼環境会議」の開催日を記念したものです。当時の琵琶湖は富栄養化が深刻で、主婦らによる「洗剤をやめて石鹸に」という大運動が行われていました。この会議を起点に、科学的知見を集約し湖沼環境の改善に働きかけるILECと、世界湖沼会議が誕生。2022年の国連環境総会で採択された「持続可能な湖沼管理」が契機となり、世界共通のシンボルとして「世界湖沼の日」が制定されました。

JICAと協働した水資源管理研修プログラム
琵琶湖流域の重要施設を見学

継続的な国際協力へ
ーSDGsの機運の高まりによる湖沼環境の改善や、今後の課題はありますか。
竹本 日本では湖沼環境保全の取り組みとして下水道整備だけでなく農業も含めた総合的なアプローチにより水質も上がってきています。目標6は大きく前進したと言えるでしょう。ただ、湖沼は目標14で少し触れられていますが、SDGsでは明確な位置づけがされていません。身近な水環境として湖沼の重要性をしっかりと位置づけることが大切です。
ー私たちにできることはなんでしょうか。
竹本 ILECでは現地での体験がSDGsの達成や課題解決につながると考え、高校生・大学生向けのエコツーリズムコンテストを開催し、優秀なグループを世界湖沼会議に派遣して国際的な視野を広げています。世界湖沼の日が世界を繋げ、さまざまな地域で水環境を考える「旗頭」となることを期待しています。

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ハンガリー・バラトン湖で開催された第19回
世界湖沼会議 ユースの取組発表の様子

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国連環境計画とも連携