Vol.05 1人ひとりの暮らしと向き合い「声なき声」を繋ぐ。
今回はNPO法人レスキューストックヤード代表理事栗田暢之氏に
災害支援や私たちができる行動についてお話を伺いました。

NPO法人レスキューストックヤード 代表理事
栗田 暢之氏
災害の経験を伝える
ー活動理念についてお聞かせください。
栗田 災害には、「起こった後の支援」と「起こる前の備え」という2つの側面があります。私たちは、災害が起きた後に人間力や地域力が低下する被災地に支援を届けることをミッションとしています 。活動を通じて得た経験を多くの人々に伝え、一人でも多くの命が助かるよう取り組みを続けています 。
ー私たちができる具体的な対策はあるのでしょうか。
栗田 命を守るフェーズには二段階あります。一つは災害発生直後、家屋の倒壊などによる直接的な死を防ぐことです。もう一つは、助かった命がその後に災害関連死で失われるのを防ぐことです 。熊本の震災では、直接死の4倍以上の方が関連死で亡くなっています 。災害が起きた後の命を守る対策も、事前に考えておく必要があるのです 。

災害関連死防止の注意喚起
避難所となった穴水中学校で
暮らしを支える支援
ーSDGsとの関連性についてどのようにお考えですか。
栗田 私たちの活動の原点は、阪神・淡路大震災での経験にあります 。行政が公平・平等な支援を行う一方で、ボランティアは被災者一人ひとりに寄り添い、個別のニーズに対応できます 。この「誰一人取り残さない」という考え方は、SDGsの理念と一致しています。理念が広まったことで、私たちの活動が社会に受け入れられやすくなりました 。特に企業からの支援が増え、連携がスムーズになったと感じています。
ー今後の活動に向けた想いをお聞かせください。
栗田 災害支援は、仮設住宅の建設といったハード面の支援だけでなく、被災者の暮らしを支えるソフト面での支援が不可欠です 。例えば、足腰の弱い高齢者のために物干し竿を下げてあげたり、踏み台を作ってあげるといった細やかな対応は、ボランティアにしかできません。南海トラフ地震は「必ず来る」と言われています 。まずは、ご自身の地域にどんなリスクがあるかハザードマップで確認するなど、一人ひとりが備えることが大切です 。そして、いざという時には、助けを求められない人々の「声なき声」を聞き、行政や企業、ボランティアが連携して支援につなげていくことが重要だと考えています。
東日本大震災復興支援
きずな公園での植樹(宮城県七ヶ浜町)
大学で災害に関する講義も
