みんなではじめるSDGs

SDGs:Sustainable Development Goals

Vol.06 SDGsで世界中に平和を訴えかけられるように

今回はJICA中部所長上町透氏に
世界平和への取り組みについてお話を伺いました。


JICA中部 所長
上町 透氏

中立の立場の難しさ
ー平和構築の活動について教えてください。
 JICAは紛争の発生につながる要因を早期に特定し防ぐ活動と、紛争後の平和を定着させるための支援を行っています。戦後は当事者の心の傷や民族間の憎しみを乗り越える地道な取り組みと、インフラ整備による目に見える生活改善がとても重要です。ウクライナでは戦時下でも、事務所を維持しインフラを復旧しながら、将来の迅速な復興支援に備えています。難民支援では、受け入れ側のホストコミュニティへの配慮も大切です。「なぜ難民ばかり支援するのか」という不満が生まれるため、両方に支援することが必要です。
ーSDGsによって、活動に変化はありましたか。
 人々の関心や意識の高まりを感じるようになりました。日本は武力による平和構築を行わない国として、平和的手段による国際貢献をこの先も地道に続ける必要があります。その点においてSDGsは日本の国際貢献の最優先事項と言えるでしょう。ただ、SDGs策定時から国際情勢は大きく変化していますので、今の課題を知り目を向けることが大切です。

テーマごとに中高生にもわかりやすく
工夫を凝らした展示

共生を考える
ー平和教育への取り組みを教えてください。
 中部なごや地球ひろばで昨年から今年の5月まで、企画展「PEACEー安心な毎日をー」を開催しました。人身取引の予防、難民支援、選挙支援などを子どもにもわかりやすく展示。実際に現場で活動した元海外協力隊員による講演も行った中で、来館した中高生からは「世界にたくさん課題があるけど、まずは自分にできることを考えてみようと思いました。」という感想をいただきました。
ー私たちの身近なところからできることはありますか。
 まず「知ること」が大事です。相手の状況を知り、思いを馳せることが平和への第一歩です。また、日本には外国の方が増えており、共に生きることが現実の課題となっています。外に行くだけがグローバルではありません。国内の外国ルーツの方々とともに平和な社会をつくっていく感覚を、国際理解教育により積極的に取り入れていく必要があります。

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元人身取引被害者がスタッフとして
行った啓発活動

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展示を説明し、学びをサポートする
ガイド「地球案内人」