Vol.07 持続可能な未来へ、共に歩む支援のかたち
今回はハンガーゼロ海外事業部の浅野陽子氏に
世界の飢餓の状況や取り組みについてお話を伺いました。

ハンガーゼロ(日本国際飢餓対策機構)
海外事業部 部長/愛知事務所
浅野 陽子氏
自分たちで問題解決
ーハンガーゼロの主な活動について教えてください。
世界の飢餓人口は6億7300万人(※)。12人に1人が、毎晩空腹のまま眠りにつき、国によっては子どもの3人に1人が十分な栄養を得られていません。私たちは、アフリカやアジアを中心に約20カ国で活動し、こうした貧困と飢餓に苦しむ方々が自分たちの力で問題を解決していけるように、物心両面で支援を続けています。
ー具体的な事例を教えてください。
ザンビア南部にカラング村という電気も水道も通っていない村があるのですが、そこには学校がなく、通うには11キロの道のりと、川を渡る必要がありました。その川で命を失った子どもの事故がきっかけとなり、ハンガーゼロと現地パートナーが行う研修を通じて「自分たちの手で学校を」という意識が広がり、日干し煉瓦で校舎を建設。政府も支援を約束し、持続可能な学校運営への道筋がつきました。カラング村では、夫の病気などで生活の苦しい女性たちによる共同農園プロジェクトも始まっています。

ザンビアでのリーダー人材育成研修
小さな行動が世界に影響
ー気候変動の影響も深刻だと聞いています。
世界中の多くで雨水に頼る農業が行われており、気候変動による影響が深刻です。日本で暮らす私たちの豊かさが、遠い地域での困難ともつながっていることを考えなければいけません。
ーSDGsはどのように関連してくるのでしょうか。
飢餓、気候変動、紛争、貧困、教育―すべてが密接につながっています。SDGsの広まりとともに、「持続可能な開発」という考え方への理解も深まりました。2030年の目標達成には、平和への真剣な取り組みと、一人ひとりの小さな行動の積み重ねが欠かせません。
ー私たちにできることはなんでしょうか。
大切なのは、遠くの問題が実は私たち自身に返ってくるという意識です。食べることさえままならない状況は治安悪化や紛争につながり、やがて世界全体に影響します。今日の私たちの小さな行動一つひとつが、世界を良くも悪くも変えていく。その意識を持つことが、持続可能な未来への第一歩だと信じています。
※出典:The State of Food Security and Nutrition in the World 2025
ボランティアと協働した啓発活動
10月25日に行われた第27回
世界食料デー名古屋大会の様子
