Vol.01 SDGsの価値観を「当たり前」に。社会課題の今と未来
中日新聞「みんなではじめるSDGs」では
各分野でSDGsを実践される方たちにリレーインタビューを行います。
今回は国際連合地域開発センター所長村田重雄さんに
世界的な課題の現状、そして2030年以降を見据えた展望を語っていただきました。

国際連合地域開発センター(UNCRD) 所長
村田 重雄氏
地域の取り組みと国際活動
ーSDGsに関わるこの地域の印象をお聞かせください。
自治体や企業の皆さんが積極的に活動されており、高い意欲を持って継続的に取り組まれている印象があります。
ー特に印象に残った取り組みはありましたか。
地域の金融機関と自治体が連携した「古民家再生プロジェクト」が非常に印象的でした。銀行が再生技術を持つ企業と自治体をつなぐハブとなり、資金面での支援も担う、非常にサステイナブルな構造になっています。この取り組みを通じて観光客数や宿泊者数がコロナ禍以前の水準へと回復しており、まさに持続可能な未来のあり方だと感じました。
サーキュラーエコノミー(循環経済)・3Rをはじめ、環境的に持続可能な交通、水関連の災害リスク軽減、スマートシティ、質の高い道路インフラといったプロジェクトを推進しています。先日はバンコクで環境的に持続可能な交通に関するワークショップを3日間開催し、昨年は豊田市で、世界39か国が参加する「国際首長フォーラム」を開催しました。地方都市での開催は世界初で、さまざまな規模の都市が取り組みを参考にしあえる場になったと感じています。

国際首長フォーラムの参加者
2030年に向けて
ーSDGsの進捗状況について教えてください。
史上初の女性総理が誕生したことで、日本国内で最も遅れていたゴール5の「ジェンダー平等」に大きな変化を感じています。一方で、世界的に深刻なのが紛争問題です。2024年の統計では約5万人が紛争により亡くなっており過去最悪の水準です。特に子どもや女性の死者数の増加率が極めて高く、避難を余儀なくされる人々の数も過去最多という状況が続いています。
<SDGs全体の新進捗状況>
順調に進展・・・・・・・・18%
一定程度進展・・・・・・・17%
停滞・進展が不十分・・・・47%
2015年より後退・・・・18%
ー今後の展望をお聞かせください。
日本のSDGs認知率は90%を超えており、世界的に見ても非常に高い水準です。特に若い世代では、SDGsは「当たり前の価値観」として定着しています。スタートアップ企業が社会課題に取り組む動きも活発で心強い限りですが、同時に事業を継続させる難しさも痛感しています。2030年はあくまで通過点ですので、その先を見据えながら前進し続けることが大切だと思っています。
ー私たちにできることはなんでしょうか。
身近なことだと、意識していただきたいのが「フェアトレード」です。買い物の際、生産者に適正な対価が支払われているかをどうかを想像してみてください。SDGsは特別な活動ではありません。一人ひとりの日常的な消費行動の積み重ねが、確実に世界とつながっているのです。
