Vol.04 気象データがひもとく、SDGsの視点で考える気候変動
中日新聞「みんなではじめるSDGs」では
各分野でSDGsを実践される方たちにリレーインタビューを行います。
今回は名古屋地方気象台の気象情報官吉村香さんに、気象台の役割、
そして気候変動の実態と私たちにできる備えについて伺いました。

名古屋地方気象台 気象情報官
吉村 香氏
東海4県を支える予報の司令塔
ー名古屋地方気象台はどのような施設か教えてください。
気象庁本庁のもとに全国を5つの管区気象台と沖縄気象台に分割しており、名古屋は東京管区気象台の管轄に属しています。名古屋地方気象台は愛知県を対象にきめ細かな情報の発表・提供、解説を行うほか、「地方予報中枢官署」として、愛知・岐阜・三重・静岡の東海4県の予報・警報業務を統括する役割を担っています。本庁が示す予測資料などを基に、東海地方としての影響を見極め、各県の予報官と天気予報や警報・注意報等の調整を行うことが重要な業務です。
ー具体的な業務を教えてください。
観測データから天気図を作成し、スーパーコンピューターによる複数の予測モデルを見比べながら、予報官が天気予報や警報・注意報等を発表しています。実況を分析する「解析番」と、先の展開を読む「シナリオ番」に分かれ、経験を積んだ職員が担当することで、局地的な現象の見極めにも対応しています。日勤・夜勤合わせて24時間態勢を維持するため、観測予報業務だけでも約40人の職員が携わっています。

日本の年平均気温偏差
数字が示す気候変動のいま
ーデータから見える気候変動の実態を教えてください。
名古屋の年平均気温は、100年あたり2.3度上昇しています(令和7年3月現在)。また、日最高気温が35度以上の猛暑日も1990年代半ばを境に大きく増えており、温暖化による気温上昇も影響していると考えられます。文部科学省と気象庁が取りまとめた「日本の気候変動2025」による愛知県の予測として、21世紀末の予測では、2度上昇シナリオで約1.4度、4度上昇シナリオでは約4.2度の気温上昇が見込まれています。一方、全国的には、これまでの年間の降水量そのものはほとんど変化がありませんが、1時間に50ミリを超えるような非常に強い雨は増加、雨の降らない日数も増加しています。すなわち、降るときと降らないときのメリハリが強まっているわけです。
ーそうした変化を受けて、防災情報にも変化があったと伺いました。
気象庁では、雨の降り方の局地化、集中化、激甚化に伴い10年ほど前から防災気象情報の改善を行ってきました。ことし5月には、防災気象情報を大幅に見直し、従来の注意報・警報の枠組みを住民が取るべき避難行動へ直結できるよう、より分かりやすい形に改めました。
ー私たち一人ひとりにできることを教えてください。
まずは自宅周辺のハザードマップを確認し、大雨や浸水のリスクを日頃から把握しておくことが大切です。そのうえで気象情報をこまめにチェックする習慣を持っていただければと思います。気候変動は大きく進行しており、完全に元に戻すのは難しいのが現実です。だからこそ、二酸化炭素の排出をできるだけ減らす暮らしを一人ひとりが心がけることが、変化を緩やかにし、将来の被害を少しでも軽減することにつながります。SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」の実現には、専門機関としての情報発信、日々の意識の向上、両方が欠かせません。
